テクニカル分析「MACD」の基礎知識を解説!

移動平均線をベースにデータや値動きの検証を重ね、さらに精度の高い分析を行うために発明されたのがオシレーター系テクニカル指標が「MACD」です。

1980年前後にアメリカの機関投資家であるジェラルド・アペルによって発明された比較的新しい指標です。

特徴と意味さえ押さえれば初心者の方でも簡単に理解することができるので、この記事ではMACDの基本的な知識と使い方を解説します。

MACDの基礎知識

MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略、読み方は「マックディー」で、日本語に訳すと移動平均収束拡散です。

移動平均線を応用したテクニカルの手法で、2つの移動平均線を使用して、買いと売りのタイミングを判断することができます。

移動平均線は一般的に使用されるSMA(単純移動平均線)と異なり、昨日や今日といった直近の価格の比重が重いEMA(指数平滑移動平均線)を使用します。MACDは数あるテクニカル手法の中でも比較的精度が高いとされ、特に新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識するのに有効とされています。

MACDとシグナル

MACDで使用される2本のラインそれぞれの名称と計算式は以下の通りです。

MACD:短期EMA(指数平滑移動平均線)-長期EMA(指数平滑移動平均線)
シグナル:MACDのSMA(単純移動平均線 )

MACDの算出に使用するEMAの期間は一般的に、短期EMAが9もしくは12、長期EMAが26を使用します。期間を変化させる際は、必ず短期の動きと長期の動きを捉えられるEMAの期間の数値にそれぞれ設定する必要があり、シグナルで使用するSMAの期間は9を使用します。

また、MACDからシグナルの値を引いて棒グラフにしたものをヒストグラムと呼びます。ヒストグラムによって、MACDとシグナルの乖離の度合いが一目でわかります。

MACDの見るべきポイント

MACDを実際の取引においてどのように活用するのか見ていきましょう。

MACDとシグナルが交差するところ

見るべきポイントは、MACDとシグナルが交差するところです。

MACDとシグナルの交差で売買サインを読み解くことができ、MACDの売買サインの見方は、移動平均線の見方と同様です。

・ゴールデンクロス:MACDがシグナルを上抜ける、買いのサイン
・デッドクロス:MACDがシグナルを下抜けること、売りのサイン

これらはグラフのゼロライン(ヒストグラムが0を表すラインのこと)から離れたところで発生した場合に、売買サインの確度が高まります。

また、ゴールデンクロス発生後にMACDのラインがゼロを上回った場合は買いサインと言えます。また、逆にデッドクロスの後にMACDのラインがゼロを下回った場合は売りサインと言えます。

これらは売買サインとして有効で信頼度が高いと言われており、確度の高い投資機会を狙っている方は、これらのサインを待ってからエントリーするのも手です。

MACDとシグナルがゼロのラインと交差するところ

MACDとシグナルがゼロラインと交差するサインからは、売買のシグナルだけではなく、相場のトレンドを把握することもできます。

・MACDとシグナルがゼロのラインを上抜ける:上昇トレンドの継続を示唆
・MACDとシグナルがゼロのラインを下抜ける:下降トレンドの継続を示唆

現在発生しているトレンドが勢いの強いトレンドなのか勢いの弱いトレンドなのかを把握するためにも非常に有効なサインと受け取ることができます。

この場合、基本的に順張りでエントリーするのが定石で、上昇トレンドが継続するとされる勢いの強いトレンドの発生を確認した際には、買いのエントリー、下降トレンドが継続するとされる勢いの強いトレンドの発生を確認した際には、売りのエントリーです。

ヒストグラム

ヒストグラムはMACDとシグナルの差を表しています。ヒストグラムも単体でシグナルとして活用することができます。

つまり、MACDとシグナルが交差した時に、ヒストグラムは0になり、MACDとシグナルがゴールデンクロスになった時は、ヒストグラムは「マイナス→0→プラス」に転じます。

逆に、MACDとシグナルがデッドクロスになった時は、ヒストグラムは「プラス→0→マイナス」に転じます。言い換えると、ヒストグラムがマイナスからプラスになった時は買いのサイン、プラスからマイナスになった時は売りのサインと受け取ることができます。

ダイバージェンス

ダイバージェンスとは価格とテクニカル指標が逆行している状態を指します。

たとえば、価格は上昇しているのにMACDは下がっているような状態で、トレンド発生時にダイバージェンスが出現した場合は、トレンドが弱まっているサインです。

発生しているトレンドが転換する可能性を強く示唆しているため、注意が必要になります。

MACDを活用するときの注意点

続いて。MACDの欠点と、MACDを使用する際の注意点を見ていきましょう。

ダマシが発生する可能性

MACDはトレンドが発生している相場では非常に有効と言えますが、横ばいのレンジ相場には弱く、ダマシも多く発生するというリスクがあります。

現在の相場がトレンド相場なのかレンジ相場なのか、他のテクニカル指標を使うなどして相場を見極め、MACDを最大限有効に活用するようにしましょう。

トレンド終盤はトレンドレスになる

ダイバージェンスなどでトレンド転換のサインが出たのち、次のトレンドが発生するまでのトレンド終盤にはトレンドレス(レンジ相場)となることが多いです。

そのため、MACDでは決済のタイミングを正確に掴むことが難しいです。

まとめ

MACDは、トレンド発生時に精度の高い売買シグナルとして活用することができるテクニカル指標です。

RSIや移動平均線といった他のテクニカル指標と組み合わせることでさらに信頼度の高い売買シグナルとして活用することができるので、是非初心者の方も使用してみてください。

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