移動平均線を使って売買のタイミングを考える際に重要となるのが、ローソク足と移動平均線の位置関係です。
その際利用するのが、移動平均乖離率という、現在の値段が移動平均からどれだけ乖離しているかを表したもので、移動平均に対して乖離した値段は市場原理に従って徐々に乖離が修正されていくという考え方が、移動平均乖離率の根底にあります。
そこで、この記事では移動平均乖離率について基本的な知識を紹介します。
移動平均乖離率とは?
移動平均乖離率は、ポピュラーなテクニカル分析である移動平均線から値段がどれだけ離れているかを簡単に数値化し、割合で表したテクニカル分析です。
一般的にはオシレーター系のテクニカル分析で、類似のテクニカル分析として、移動平均乖離率をチャートに重ねたエンベロープなどがあります。
移動平均乖離率の計算式
移動平均乖離率は以下の計算方法で求められ、「%」で示されます。
((終値-移動平均値)÷移動平均値)×100
たとえば、本日のドル/円の終値が100円で、移動平均線の価格が90円だとすると、移動平均乖離率は10%ということになります。
(100-90)÷100×100=10%
FX取引における移動平均乖離率の使い方
移動平均乖離率は現在の値段が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを判断するテクニカル分析です。
価格が移動平均線から大きく上に離れると、乖離率もプラスに大きく変動し、そのような状況になった場合、「売り」のサイン、一方、価格が移動平均線から下に大きく離れて、乖離率がマイナスの大きな値をとった場合、「買い」のサインになります。
上昇(売り)・下降(買い)を問わず価格と移動平均線との乖離幅については、使用する移動平均線の日数や相場動向によって警戒圏を決められないことから、過去の乖離率の動きから適した警戒圏を判断します。
例えば、過去の乖離率が-5%~+5%の範囲で推移しているなら、乖離率が+5%付近で反転したら「売り」、-5%付近で反転したら「買い」と判断することになります。
移動平均乖離率を見るときの注意点
移動平均乖離率を見る際、以下の2点に注意しておきましょう。
過去の乖離率の動きを参考にする
移動平均乖離率はあくまでも移動平均線をベースとした分析方法です。
そのため、日足であれば5日なのか25日なのか、75日なのか基準とする移動平均線の日数によって乖離率は変わります。相場動向や通貨ペアの特性に合わせて移動平均線の日数を決める必要があるので、過去の乖離率を見ながら、最適な移動平均線の日数を決める必要があります。
移動平均乖離率が横ばいの状況は微妙
値段と移動平均線が同じような動きを見せる状態では、値段と移動平均線の間に大きな乖離が起きておらず、移動平均乖離率も横ばいになります。
この状況では乖離を用いた取引手法は有効とは言えず、移動平均乖離率は使うべきではないでしょう。
逆に、上昇(下落)トレンドが発生している場合など、上下に値動きが激しく推移している地合いでは急激なレート変動があるため値段と移動平均線の乖離は大きくなる傾向が強いので移動平均乖離率は非常に有効です。
まとめ
移動平均乖離率はローソク足と移動平均線との位置関係を一目で理解することのできるテクニカル指標で、現在の値段が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを判断することができます。
特に値動きの激しいトレンド発生時には有効なので、是非理解して実践してみてはいかがでしょうか。