数多くあるテクニカル分析の中でもっとも有名で愛用者の多い分析手法の「移動平均線」。
1本もしくは複数のラインと組み合わせることで、値動きなど相場の状況を認識できるだけではなく、売買タイミングを計るシグナルとしても活用できます。
そこで、この記事では「移動平均線」の基礎知識を解説していきます。
移動平均線の基礎知識
移動平均線とは一定期間における終値の平均値の変化をチャート上にグラフで表したグラフのことです。
通常のローソク足などのチャートに比べて滑らかに表現され、テクニカル指標の中で最も基本的な指標で、世界中で多くの人が利用しています。
移動平均線はほかのテクニカルチャートにも応用されており、MACDでは短期の移動平均線と中長期の移動平均線が使用されていますし、ボリンジャーバンドは移動平均線と標準偏差で構成されます。
移動平均線が示す意味
移動平均線では、現在(過去)の相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすく、移動平均線の傾きでトレンドの勢いなどを視覚的に確認することができます。
また、移動平均線は、算出期間(25日移動平均線であれば25日分)のマーケットポジションの平均コストを示しています。つまり移動平均線の水準よりも価格が上がったり下がったりすると、投資家が保有しているポジションの含み益が含み損に変わったり、逆に含み損が含み益に変わる水準として捉えられます。
さらに、移動平均線は、複数の異なる移動平均線の組合せやローソク足との組合せによって売買シグナルとして機能させることもできます。
基本的な見方
移動平均線の向きと角度が重要なポイントです。
まず向きですが、上向きの場合は上昇トレンドを表し、逆に下向きの場合は下降トレンドを表し、どちらともいえない横ばいの場合はもみあい局面を表します。その時の移動平均線の角度が急であればあるほど出来高が多く勢いが強く、トレンドが継続する可能性が高いことを示唆しています。
現在の価格が移動平均線に比べて上側と下側のどちらにあるかも確認すると、上側にある場合は強い相場、買いの勢力が強い状況で、価格が下がった時に、移動平均線が下値支持線となるのか注目しましょう。下値支持線となり反発を見せた場合には、買いのシグナルと捉えることができます。
逆に下側にある場合は弱い相場、売りの勢力が強い状況です。価格が上がった時に、移動平均線が上値抵抗線となるのか注目しましょう。上値抵抗線となり押し戻された場合には、売りのシグナルと捉えることができます。
期間の異なる移動平均線を複数組合せて使用すると、それらの位置関係からトレンドの変化をつかむこともでき、売買シグナルとして利用することもできます。
移動平均線の組合せは、短期移動平均線と長期移動平均線、短期移動平均線と中期移動平均線など、具体的には、5日線と25日線、13週線と26週線の組合せがオーソドックスです。
それでは、実際にどのような位置関係がトレンドの変化を表すのか紹介します。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは短期線が長期線を下から上へ突き抜ける状態のことです。
上昇トレンド入りを表し、買いのシグナルとなります。相場の大勢が下値から上値へ目線を切り替えたことを示唆しています。
デッドクロス
デッドクロスは短期線が長期線を上から下へ突き抜ける状態のことです。
下降トレンド入りを表し、売りのシグナルとなります。相場の大勢が上値から下値へ目線を切り替えたことを示唆しています。
移動平均線を上手に活用するためのポイント「グランビルの法則」
グランビルの法則はアメリカのチャート分析家が考案した売買シグナルで、値段と移動平均線に注目して売りと買いのシグナルパターンが8つに分類されているもので、パターンごとにシグナルの確度や強弱がありゴールデンクロス/デッドクロスのみの分析を超えた精密な分析ができます。
ただし、グランビルの法則やゴールデンクロス、デッドクロスなどは絶対的なものではないので参考程度にとどめておき、移動平均線は過去の終値を参考にしているため、短期線であってもタイムラグのある遅行指標であることは理解しましょう。
まとめ
移動平均線を使えるようになると、取引手法の幅は一気に広がるでしょう。
今の相場がどういう局面なのか、上昇下降どちらのトレンドが発生しているのかといった相場の環境認識だけでなく、売買シグナルとしても活用することができます。