FXのスプレッドとは?ちゃんと知らないと損をする?

FXで取引に大きく関わってくる「スプレッド」。

スプレッドは、FX会社によって扱いや最小値が異なり、また大きく変動するタイミングがあるので、スプレッドについてしっかり知っておかないと損してしまう可能性があります。

そこで、この記事ではFXのスプレッドについて解説していきます。

FXのスプレッドとは?

FXのスプレッドとは、簡単にいうと通貨ペアの「買値と売値の差」、ある時点でFX取引をする際の買値(ASK)と売値(BID)の差をのことです。

FXは通貨ペアごとに必ず買値と売値、2つのレートが提示されている。新規・決済ともに買いを行う場合は買値を、売りを行う場合は売値を見るのが基本となります。

例えば、ドル円のレートであれば「買値1ドル=100.1円、売値1ドル=100円」のように、買値と売値のレートが別々に提示され、この場合は買値と売値の差「100.1―100=0.1円」がスプレッドです。

スプレッドは通貨ペアによって異なる

FXでは、ドル円のみではなく、ユーロ円やユーロドルなどさまざまな通貨ペアで取引を行うことできますが、通貨の流通量などによって、調達コストに差が出てくため、スプレッドは通貨ペアごとに異なります。

一般的に流通数の少ない通貨が含まれる通貨ペアほどスプレッドが高くなる傾向で、世界でもっとも流通量の多い通貨は「アメリカドル」で、その次に「ユーロ」「日本円」となっています。

そのため、通貨ペア「ドル円」や「ユーロ円」、「ユーロドル」などのスプレッドはほとんどのFX会社で比較的狭くなりやすいです。

FX会社が提示する為替レートの決まり方

FX会社は、各社で採用している「カバー取引先銀行」がインターバンク市場の実勢外国為替レートをもとに提示している為替レートを参考に、各通貨ペアの買値と売値を決定して顧客に提示しています。

FX会社が顧客へ為替レートを表示する際、単純にカバー取引先が提示したレートを表示するだけではなく、ある「一定の額」を加減して売値と買値を決めている。この「一定の額」によりスプレッドが生じ、FX会社は実質的な手数料として利益を得ています。

例えば、買値1ドル=100.10円で新規に買い注文が成立したとする。ここで、スプレッドが0.1円の場合は売値が1ドル=100円。

買いの新規注文をしたトレーダーは、売値で売り注文を行うことになるので、1ドル=100.10円でドル円を買った時点で、0.1円の含み損が建玉に発生し、この「含み損」が発生することが、トレーダーがスプレッドを取引コストとして負担しているということです。

なお、スプレッドは「取引コスト」として考えるべきですが、建玉を決済する時点で確定した損益に含まれているため、税務申告をする際は特にスプレッドを考慮して申告する必要はありません。

スプレッドによる取引コストは「通貨数×スプレッド」により算出できます。

例えば、スプレッドが0.3銭であるドル円を1万通貨取引した場合、0.3銭は0.003円なので、1万通貨取引した場合は、取引が成立した時点での含み損は「0.003円×1万通貨=30円」です。

つまり、スプレッド0.3銭で1万通貨の取引をした場合のスプレッドにより生じる取引コストは30円です。

スプレッドの単位「pips」

FX会社によってはスプレッドを「0.3銭」ではなく「0.3pips」と表示する場合があります。「pips」はFX取引において使用される為替レートが動く際の最小単位です。

「pips」を使用するメリットとしては、異なる通貨取引同士でも比較しやすいことや、通貨取引の利益が同額でも「pips」の数値で損益の大きさを見て取れることなどが挙げられます。

例えば「円」の場合は、「1pips=1銭」となり、「ドル」の場合は「1pips=0.01セント」となります。

次に、「ユーロドル」や「ユーロポンド」などの円を含まない通貨ペア「クロス通貨」の場合、スプレッドは「銭」ではなく「pips」で表示されます。

スプレッドによる取引コストの計算方法は「通貨数×スプレッド×任意の円レート」です。基本的な考え方はクロス円と同じだが、取引コストを円換算する必要があります。

例えば、1ドル=100円の場合にスプレッド1.5pipsである通貨ペア「ユーロドル」を1万通貨取引した場合、1pips=0.01なので、この場合のスプレッドによる取引コストは「0.015セント×1万通貨=150セント」となる。1ドルは100セントなので、1.5ドルと言い換えられます。

最後に、スプレッドによる取引コスト1.5ドルに1ドル=100円をかけ算すると、円換算の取引コスト「150円」とわかります。

FXのスプレッドの注意点

FX取引をするにあたって、スプレッド関連で注意すべきポイントを紹介します。

スプレッドは変動する

FX会社によっては「ドル円スプレッド原則固定0.3pips」のような広告を出していることもありますが、あくまでも原則固定であり、必ずスプレッドが0.3pipsであるという意味ではありません。

スプレッドは取引コストと同義であるので、実質的な手数料が市場の状況によって変わるということで、スプレッドが広がったタイミングで取引をしてしまうと、通常より多くの手数料を負担してしまうことになります。

スプレッドによってロスカットとなってしまう可能性

スプレッドを考慮せずに、少ない証拠金に対して大きな金額の取引を行ってしまうと、新規注文が成立して即ロスカットとなってしまう可能性もあります。

少ない証拠金に対して大きな金額の取引をすると、証拠金額に対するスプレッドによる取引コストの割合が増え、ロスカットとなりやすい状況になるので注意しましょう。

FXのスプレッドが大きく変動しやすい3つのタイミング

FXのスプレッドはマーケットの状況により広がることがあるので、スプレッドが広がる主なタイミングを紹介します。

FX会社のサービス開始・終了時間

スプレッドは各通貨ペアの売買数量により変動します。

FX会社のサービス開始時間、サービス終了時間など、マーケット参加者が少なく流動性が著しく低下した場合は、スプレッドが大きく広がる可能性が高いです。

雇用統計などの重要な経済指標発表・災害や大統領選などのビッグニュース

FXの為替レートが乱高下するタイミングもスプレッドが大きく広がりやすく、雇用統計や各国のGDPなど、重要な経済指標が発表されるタイミングは、マーケット参加者が増加し取引が活発的に行われ、為替レートが乱高下する場合があります。

また、世界的な災害やテロ事件、アメリカ大統領選など大きなイベントによる相場急変時にもスプレッドが広がる傾向となっています。

市場が乱高下するタイミングは、大きな利益を得るチャンスですが、スプレッドが広がることは、トレーダーが負担する取引コストが増えるのと同義であるので、トレードの判断材料の一つとしておきましょう。

FX会社を「スプレッド」で比較する

FX会社を選ぶ際、取引する通貨ペアの「スプレッド」で比較することがあると思います。スプレッドは取引コストと同義であるので、できるだけ狭いスプレッドを提示しているFX会社を選びましょう。

FX会社によって、スプレッドの扱いが「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」というように異なる場合があり、「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」との違いは、「広告として提示している最小値スプレッドの維持率」です。

「原則固定スプレッド」のFX会社のほうが、「変動スプレッド」のFX会社よりも提示されている最小スプレッドが維持される可能性が高く、スプレッドの拡大率が低いほうが好ましいのであれば、「原則固定スプレッド」を掲げるFX会社を選ぶと良いでしょう。

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