FX取引の「注文方法」は?
株式取引と同様、FXで通貨を取引する際も、状況に応じて使い分けることができる、さまざまな注文方法が提供されています。
多彩な注文方法があることで、異なる局面でもスムーズに取引できます。
まずはここでは、基本となる6種類の注文方法について紹介します。これらは必ず必要となる方法なので、その使い方を必ずマスターしてください。
成行注文
注文を出したときの為替レートで約定(注文成立)する方法。「いま買いたい」「いま売りたい」というときに使う
指値注文
「現行レートより安い価格で買いたい」、もしくは「現行レートより高い価格で売りたい」というときに、価格を指定して注文する方法。
押し目買い(上昇トレンドにある通貨が、いったん下がったときに買う)、もしくは買いポジションを利益確定させたいときなどに使う
逆指値注文
「現行レートより高く買いたい」、もしくは「現行レートより安い価格で売りたい」というときに、価格を指定して注文する方法。
上昇トレンドの通貨を買いたいときや、買いポジションの通貨のストップ(損切り)注文などに使う
IFD注文
新規注文と同時に、その新規注文が成立したら有効になる決済注文を同時に出す方法。新規注文が約定しない限り決済注文は執行されない
OCO注文
新規注文を出すときに「指値」と「逆指値」の2通りの注文を出す方法。
保有ポジションの決済注文にも使える、この場合は、利益確定のリミット注文と損失限定のストップ注文のふたつが同時に出せる。
IFO注文
IFDとOCOを組み合わせた注文方法。
新規注文と同時に、その新規注文が約定したら有効になる、決済用の指値注文と逆指値注文が同時に出せる。新規取引から利益確定、もしくは損失限定の決済注文までを一度に出せる便利な方法。
リアルタイムで相場に向き合っているときは成行注文が便利ですし、本業があるサラリーマンならIFO注文は強い味方。これらの注文方法を身につけておくことで、あらゆる相場局面に対応できるといえるでしょう。
注文の前に確認しておくべきことは?
自分の口座を開いて入金も済ませ、いよいよFX取引デビューとなると、最初に注文を入れる際にはちょっと肩に力が入ってしまうかもしれません。しかし、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- どの通貨ペアか?
- 買いと売りのどちらか?
- どれだけの注文数量にするのか?
- その場合、実効レバレッジは何倍になるのか?
- ロスカットラインはいくらになるのか
これらのポイントについて冷静に確認することが大切です。
自分の予想が外れたのであればまだしも、単純なケアレスミスによる“誤発注”で損を出してしまうのは大きな後悔につながります。
また、④の実効レバレッジと⑤のロスカットラインの確認についても、リスクとリターンのバランスを図るうえで見逃せないことです。
実際に注文を入れてみよう
為替相場の先行きに対して自分なりのシナリオを描いたら、いざ注文です。FXでは、①買いのポジションを建てて決済でそれを売る、②売りのポジションを建てて決済でそれを買い戻す−−というどちらかの方法で利益を狙うことになります。
①ではその通貨に対して円安が進むケース、②ではその通貨に対して円高が進むケースにおいて利益が発生します。そして、最初にポジションを建てるために入れる注文のことを「新規注文」、そのポジションを解消するために入れる注文のことを「決済注文」と呼んでいます。
自分が出した注文はどういう経路で市場に出ていくの?
こうして一般の投資家から出された注文は、どのようなプロセスを経て市場でやりとりされることになるのでしょうか? 店頭取引と呼ばれるFX会社を通じたトレードにおける注文の流れについて説明しておきます。
個人投資家から出された注文は 通信回線によってつながったネットワークを通じて、「インターバンク市場」で取引されます。「インターバンク市場」とは、金融機関等の限られた参加者が取引を行う市場のことを言い、個人投資家がインターバンク市場に参加することはできません。
言わば、プロの投資家が取引を行う場と言えます。FX会社はこの市場に参加している特定の金融機関と提携を結んでいます。
この提携金融機関のことを、カバー先(カウンターパーティ)と呼んでいます。FX会社は顧客から注文を受けると、それに基づいた注文をカバー先に出しています。
必ずしも、カバー先は提示した条件で取引に応じてくれるとは限りません。そこで、「みんなのFX」ではつねに業界最狭水準のスプレッドとなるレートで取引が成立するように、複数のカバー先と交渉を行っています。
パソコンやスマートフォンで自分が出した注文は、舞台裏でこのようなやりとりが繰り広げられたうえで約定まで辿り着いていたわけです。
注文の訂正や取り消しはできる?
一方、成行注文以外の注文は訂正や取り消しも簡単に行えます。画面下部のメニューバーからメニュー画面を表示し、「注文変更・取消」をタップすると、注文変更・取消画面が表示されます。
その中から内容を変更したい注文をタップすると、注文詳細画面が表示されます。そして、「注文変更」をタップすると、注文変更画面が表示されます。
数量、注文価格、有効期限の中から変更したいものを設定し直し、「注文変更」をタップすると、注文変更確認画面が表示されます。最後に「注文変更実行」をタップすると、注文変更が実行されます。なお、注文タイプや執行条件は変更できないので気をつけましょう。
注文の取り消し方法は?
注文の取消しは、やはり画面下部のメニューバーからメニュー画面を表示し、「注文変更・取消」をタップすると、注文変更・取消画面が表示されます。取消したい注文をタップすると、注文詳細画面が表示されます。
続いて「取消」をタップすると、注文取消確認画面が表示されます。最後に「注文取消実行」をタップすると、取消が実行されます。
新たな注文方法も登場
最近は、さらに利便性の高い注文方法でトレーダーから人気を集めているFX会社もあります。
例えばそのひとつが「トレール注文」。
新規注文が約定すると同時に、逆指値の「値幅」が指定できる方法です。
具体的には、ドル円が100円の時に買いポジション(レートが円安に進むと利益が発生、円高に進むと損失が発生)を新規約定。
この時、98円で通常の逆指値注文を入れておくと、その価格までレートが下落すれば、損切りの決済注文が執行されます。損失を限定するという意味では便利な注文方法です。
一方、トレール注文の場合は、逆指値の値幅を指定。仮に「2円」にするとします。するとこの場合、新規約定後に価格が2円下落すれば通常の逆指値注文と同じく98円で決済注文が執行されますが、反対にレートが101円に上昇すれば、98円だった逆指値価格は、2円幅を置いた99円に上昇。さらに102円に上昇すれば100円になります。
ところが一度上昇したトレール価格は下がらないよう設定されているので、その後にレートが反落すると100円で決済。損益はプラスマイナスゼロです。さらにレートが上がっていけばそれに伴いトレール価格も上がるので、確実に利益が取れます。このように、リスクを限定しつつも利益を狙えるのが、トレール注文なのです。
「サイバーエージェントFX」「マネックスFX」「マネーパートナーズ」「アトランティック・ファイナンシャル・コーポレーション」等、多数のFX会社が採用している利便性の高い注文方法です。
独自の注文機能で差別化を図る会社もあります。例えば「ヒロセ通商」は、時間と価格を指定して、指定した時間内に指定レートに達す売ると約定し、指定レートに達しないと、指定した時間に市場価格で約定する「時間指定注文」、「ばんせい山丸証券」は、取引時間中は指値注文として有効ながらも、取引終了時間直前までに指定注文が成立しなかった場合、取引終了と同時に自動的に成行注文として執行される「不成注文」(ドル・ユーロ・ポンド・円の組み合わせのみ)、「FX ZERO」は、複数のポジションをまとめて決済したり、同一通貨をまとめて決済できる「グロス決済注文」を採用しています。こういった、各社の売りをチェックして、会社選びの参考にするのも悪くありません。
まとめ
注文機能でもしのぎを削るFX各社。
ただし注意したいのは、これらの注文がスムーズに成立するかどうかです。いくら多彩な注文方法を提供していても、売買チャンスを逃すと言う意味では本末転倒です。
各社のデモトレードを体験し、注文方法の利便性や約定力も検証した上で、自分に合った会社を選ぶようにしましょう。